ハート島熱風食堂
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STORY 05 明日定食

STORY
01.春の嵐
02.島の子
03.あたらしい夏
04.黒潮の便り
05.明日定食
06.おじいの海
07.元気そば
08.満天の星
09.天使の休日
10.待っている人
11.涙の浜辺
12.本日営業日和
13.いのちのうた
14.店主の器
15.名もなき花で
16.笑顔農園
17.夢の一滴
18.見えない力
19.夏はお熱く
20.恋する珊瑚礁
21.島の魔法
22.ウミガメ物語
23.五風十雨
24.心の花
終 章
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ハート島熱風食堂


第5話 明日定食

「海の向こうから昨日がやってくる」
千年生きていると噂の古老トキおばぁが意味深なお告げをするが、 海きりんは「ここには今日しかないさ」と一笑。オッチャンも相手にしようとしない。 旅の客を迎える忙しいシーズン到来。みんな仕込みで大忙しなのだ。

ハツミが働く民宿に、二十年ぶりの客がやってきた。
ヨシエさんと呼ばれたその婦人は、麦茶の注ぎ方がなっていないと、いきなりマリーをしかりつけた。 双子の海太と風太は浜で遊んでいるところをつかまってなぜか大目玉をくらい、 島いちばんのわんぱく勇太はお菓子をとりあげられて半泣きになる。 あの客は子供の敵だ。ずっとお姉さん役だったマリーは 島の弟のためヨシエに復讐を誓う。

お客のプライベートには立ち入らないと決めていたハツミだったが、 懸命なマリーに影響されて聞き込みを開始。 島の古老達とも顔なじみのヨシエは、かつて常連客であったらしいのだが、 誰もが申し合わせたように何も教えてくれない。

ヨシエをぎゃふんといわせてやろうたくらむマリーだったが、 誰もいない浜で、ひとり泣く彼女を目撃し、困惑する。
二十年前、ヨシエにいったい何があったのか? ククルヌパナの力は、彼女の大切な人がこの海にいるのだと告げた。
マリーは徳三おじいをたずね、長い昔話をきかされた末に、ことの次第を知る。 ヨシエはかつてこの島でひとり息子を亡くしていた。 だから島の子供らの姿に、息子の像が重なったのだろう。
思いあらためたマリーは、ヨシエに最高のランチを約束し、食堂の厨房で特訓にはいる。
腕自慢のオッチャンは最高の料理を伝授しようとするが、 マリーが挑んだのはごく普通の料理だった。

当日、マリーが出したオムライスに、誰もが驚いた。 亡くなった子供の大好物を、敢えてつくった。 それは大切な人との別れを受け入れようとするマリー自身の決意でもあった。
ヨシエは戸惑いながらも口をつけ、はじめて笑顔をみせる。
「あの頃がもどってきたみたい・・・」
「いいや、ここには今日しかないさね」
トキおばぁの言葉が、潮風にとけた。

お別れの日、港まで見送りにいったマリーに、 ヨシエは「あなたが誰の子かすぐわかった」と笑った。 まだ見ぬ母親にそっくりだといわれ、悪い気はしないマリー。
港の先端に立って、マリーとハツミは競い合うように手をふった。 お客を送り出すときは、船が見えなくなるまで大きく手をふる。 なんにもない島だからせめてもの思い出にと、 みんなで知恵をしぼって昔からつづけてきたならわしだ。
「また来てねー」
二十年前と同じように、ヨシエは手をふりかえして島を出た。

明日に向けて船はゆく。そして島は、次のお客を迎えるのだ。



一度行こうよ唄の島
さてむ変わらんこの島や
ハートのかたちだハート島
いのちがうたのここにあり





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