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STORY
01.春の嵐 02.島の子 03.あたらしい夏 04.黒潮の便り 05.明日定食 06.おじいの海 07.元気そば 08.満天の星 09.天使の休日 10.待っている人 11.涙の浜辺 12.本日営業日和 13.いのちのうた 14.店主の器 15.名もなき花で 16.笑顔農園 17.夢の一滴 18.見えない力 19.夏はお熱く 20.恋する珊瑚礁 21.島の魔法 22.ウミガメ物語 23.五風十雨 24.心の花 終 章 全話一括表示 |
![]() 第9話 天使の休日
いつものように港で女性客を出迎えたハツミは、「この島どうです?」ときかれ、
いつものように笑ってこたえる。「いいとこですよ、なんにもなくて」 「なんにもなくて・・・」 バックミラーを見て気づいた。女性の一人旅は珍しくないが、 この客は島に来るようなタイプではない。どこか透明な感じがする美人。 しかも、この顔、どこかで見たような気がする。 民宿にきた美人客のウワサは、またたく間にひろがった。 ついたあだ名は天使。微笑が天使のようだからだ。 何とかお近づきになりたい男達は、民宿のまわりをうろうろ。 いつも女性客を求めてさまよう島の狩人ノボル(二十二歳・独身)はもちろん、 島の唄者を継承する青年団長シゲさん(四十六歳・これまた独身)までが 昼間っから庭先でこれみよがしに歌ってハツミに追い返される始末。 そんな中、マリーは天使のうれいがかった横顔が気にかかる。 東京で芸能記者をやっている友人から電話を受けたハツミは、 人気絶頂にして失踪した元アイドル・高山美樹がこの島に来ていないかとたずねられる。 先日近くの島で目撃されたとの情報を受け、取材クルーがこの島に向かったという。 「そんなことあるわけないよ」とっさに返したハツミだったが、愕然とする。 天使の正体は、まさしく高山美樹だったのだ。 マリーとハツミは密かに作戦会議をし、取材の魔の手から天使をまもる策を練る。 いきさつはわからないが、わざわざ名前をかくして島に来るには、きっと何か事情があるに違いない。 彼女もまた今島にいきる命。きっと風おじいだってそうしたはずだ。 数日後、やってきた取材クルー。オッチャンは秘伝の残酷海ヘビ鍋で彼らのド肝を抜く。 マリーらもあの手この手で取材陣を追い返そうとしたが、結局、民宿にいつかれてしまう。 仕方なく天使を宿から脱出させ、マリーの部屋にかくまう。 天使にどうして自分をたすけてくれるのかときかれ、「なんでかね」と笑うマリー。 月に祈りを込めて発動したククルヌパナは、事態の好転を示唆するが、 マリーには状況を打破する妙案はなかった。 翌日、なんとか妨害しようとしたハツミの努力もむなしく、 島人への聞き込みをはじめた取材陣。絶対絶命のピンチ。 ところが、青年団長シゲさんは「若い女の客なんてこの島に来るはずないさ」と一笑。 誰もが口をそろえたように知らないとこたえる。それもそのはず、 なんとなく事態を察していた島の人達は、こぞって芝居を打っていたのだ。 おかげで取材陣は無駄足だったと島を後にし、マリーらはほっと胸をなでおろす。 その夜、熱風食堂でにぎやかな酒盛りがもよおされた。 シゲさんの島唄をバックに、誰もが興奮して今日の名演技を自慢した。 マリーやハツミと一緒に食堂を手伝う天使の姿。 あれこれ事情はきかない。それがこの島流。 話すべきことは、話したくなったときに話せばいいのだ。 こうして彼女は天使という存在のまま、しばらく島にとどまることになった。 島の美童十三つ 踊る美童十三夜 ハートのかたちだハート島 ふくらむ胸のあるがまま |
ハート島人物録
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