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STORY
01.春の嵐 02.島の子 03.あたらしい夏 04.黒潮の便り 05.明日定食 06.おじいの海 07.元気そば 08.満天の星 09.天使の休日 10.待っている人 11.涙の浜辺 12.本日営業日和 13.いのちのうた 14.店主の器 15.名もなき花で 16.笑顔農園 17.夢の一滴 18.見えない力 19.夏はお熱く 20.恋する珊瑚礁 21.島の魔法 22.ウミガメ物語 23.五風十雨 24.心の花 終 章 全話一括表示 |
![]() 第13話 いのちのうた
めでたく退院したオッチャン。ショウちゃんに盗っ人呼ばわりされながら、それもまた楽しい。
すっかり食堂の一員となった天使は、たのまれもしないのに灼熱の厨房に入ってミスを連発。
かわいた笑いをさそう。
にぎやかな食堂のひとときが戻ってきた。ある日の夕方、浜で島唄をよんでいた青年団長シゲさんは、 若い旅行者ユタカから手ほどきをたのまれる。 島唄を愛するシゲさんは快諾し、稽古をつけることになった。 島唄ブームの折、三線持参の珍客もいるのだが、 トキおばぁが不吉な予言をしたことで、事態はおかしな方向にかたむきはじめた。 「あの者には、命の唄が必要さね・・・」 シゲさんは責任の重大さにおののき、命の唄とは何なのか自問しはじめる。 その話を勘違いしたハツミは、島で自殺者を出してはならないと大騒ぎ。 三線を片手に出かけた旅行者ユタカの後をこっそりつけるが、 ばったり天使と遭遇、目をはなしたすきにユタカの背中を見失ってしまう。 「尾行してたの?」と天使にきかれ、バツが悪いハツミは 「まさか自殺なんてね、私だってそんなこと考えたことないもんね」 と笑ってその場をごまかそうとするが、 「私はあるけど」天使にさらりと言われ、ハツミは大真面目で困惑する。 ククルヌパナの力で何の心配もないことをたしかめていたマリーだったが、 あまりにみんながさわぐので、悪戯心からしばらくそっとしておく。 その間にも話にはどんどん尾ひれがついて、 いつしか旅行者ユタカは自殺志願者としてみんなから監視されるようになる。 牛舎のかげで三線を持ったまま思案に暮れるシゲさん。 重圧はいやがおうにも高まった。 そして迎えた稽古の場で、シゲさんは思い切って告げる。 「あなたに命の唄を教えてやれと島の年寄りにいわれました。 僕の唄はですね、毎日牛の世話をして、ご飯を食べてくそをして、 酒飲んで、ぐっすり寝ることです」 心配のあまり草のかげに潜伏していた一同はずっこけた。 「でも、それは僕の唄でして、あなたの唄ではありません。 だから、僕には教えることができません。でも、 自分の唄がみつからないままあなたが死んでしまったら、 とても悲しいと思います」 旅行者ユタカは一瞬きょとんとするが、やがて柔らかに笑う。 仕事を辞めて何となく放浪していた彼は、 そろそろ今までの自分に見切りをつけようと思っていた。 シゲさんの誠意は、はからずしも彼にひとつの契機を与えたのだ。 草のかげの一同、ほっと胸をなでおろす。 ハツミはおそるおそる「あんたは大丈夫?」と天使に問う。 「昔の話よ」と、天使はおだだやかに笑った。 かくして島の一大事は大円団で幕を閉じた。 夕暮れの海をバックに、二人の島唄がきこえる。 決してうまいとはいえないが、他の者には奏でられない歌だ。 オッチャンは「命の味とは何であろう」とおどけながら、 マリーにできたての元気そばを持っていかせるのだった。 一度行こうよ唄の島 さてむ変わらんこの島や ハートのかたちだハート島 いのちがうたのここにあり |
ハート島人物録
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