ハート島熱風食堂
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STORY 20 恋する珊瑚礁

STORY
01.春の嵐
02.島の子
03.あたらしい夏
04.黒潮の便り
05.明日定食
06.おじいの海
07.元気そば
08.満天の星
09.天使の休日
10.待っている人
11.涙の浜辺
12.本日営業日和
13.いのちのうた
14.店主の器
15.名もなき花で
16.笑顔農園
17.夢の一滴
18.見えない力
19.夏はお熱く
20.恋する珊瑚礁
21.島の魔法
22.ウミガメ物語
23.五風十雨
24.心の花
終 章
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ハート島熱風食堂


第20話 恋する珊瑚礁

牛のセリ市の日、島は活気づく。いつもは冗談ばかり言っている島のにーにー達も、 この日ばかりは真剣な表情でかっこいい。 その中で、若頭のショウちゃんはなんとなく元気がない。 原因は一種の恋わずらい。学校に産休教師できていた裕子先生が、 この夏でいなくなってしまうからだ。

すっかりおせっかいづいたハツミは、裕子先生が島にいる間に、 ショウちゃんに告白の機会を与えようと、 天使とともに裕子先生を海へ連れ出す計画を立てる。 周りは奇跡の珊瑚礁。島の北岸には、ウラ干瀬と呼ばれる大潮のときだけ姿をあらわす幻の穴場がある。 島の男達は天使と一緒に行きたい一心で船を出すことを快諾。 恥ずかしがるショウちゃんを無理やりもりたて、秘密の計画が決行された。

今回ばかりは置いてきぼりをくらったマリーだったが、 ククルヌパナの力でハツミらの陰謀を見事キャッチ。 許すまじとばかりに、とびきり苦い薬草を使った復讐出前弁当をこしらえ、 海きりんが繰るボロ船で一行の後を追う。
ところが、ウラ干瀬洋上では、肝心の裕子先生が実は泳げないことが発覚し、一同困りはてていた。 マリーは誰でも泳げるおまじないをした特製弁当だと うそをついて苦い弁当を食べさせ、裕子先生を海へといざなう。
おそるおそる海に入った裕子先生はいったん溺れかけるが、ショウちゃんのサポートで立ち直り、 初めて自分の力で泳ぐ。そこには色とりどりの魚がたわむれる美しい世界があった。

マリーがひと足早く海からあがると、船の上でカワハギ艦長が水平線を見ていた。 「マリー、海の上は最高だね」けれど、かわいがっていた見習いの義弘君はもういない。 艦長は時折こうして海を見ながら自分に問いかける。 「ここで厳しくしないとダメだって思ったんだけど、もっとあいつの気持ちを考えてやるべきだったかな・・・」 艦長もまたあの春の嵐で大切な人を失ったのだ。
「あいつを許してやってくれ」と言う艦長に、 「義弘君はきっと帰ってくるよ」と笑うマリー。潮風はやさしく二人の頬をなでた。

いろいろあった海の一日は、なかなかいい感じで幕を閉じたかにみえた。 とろこが、帰りの船で、裕子先生はみんなにお礼を言うと、今度は婚約者を島に連れてくると爆弾発言。 愕然としつつも、男涙で拍手を送るショウちゃんであった。

夕暮れの熱風食堂に、ぬけがらのようなショウちゃんの姿。 オッチャンは黙って特製ドリンクをさしだす。 失恋をなぐさめるかにみえたそれは、実は昼の残りの苦い薬草絞り汁。 思わず顔をしかめた悲痛の失恋男を、厨房にかくれていたマリーらが指さして笑う。 くよくよしてもはじまらない。ショウちゃんもやがて仕方なく苦笑い。
ひとひらの思い出をのこして、島の夏はまだまだつづく。



白い岬の灯台に
ひめた思いの願かけて
ハートのかたちだハート島
世界を結ぶ恋の島





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