ハート島熱風食堂
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STORY 21 島の魔法

STORY
01.春の嵐
02.島の子
03.あたらしい夏
04.黒潮の便り
05.明日定食
06.おじいの海
07.元気そば
08.満天の星
09.天使の休日
10.待っている人
11.涙の浜辺
12.本日営業日和
13.いのちのうた
14.店主の器
15.名もなき花で
16.笑顔農園
17.夢の一滴
18.見えない力
19.夏はお熱く
20.恋する珊瑚礁
21.島の魔法
22.ウミガメ物語
23.五風十雨
24.心の花
終 章
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ハート島熱風食堂


第21話 島の魔法

マリーのもとにうれしい知らせが届く。 都会に住む親戚のクンちゃんが、急に島にやって来るというのだ。 マリーは島を案内する計画をあれこれ立て、ハツミら周囲をあきれさせる。
港で出迎えたマリーがあまりに元気になっていることに驚くクンちゃん。 「この島は私のお母さんだもの」というマリーの笑顔に、クンちゃんは一瞬どきりとした。
「この島は変わってない」と言われるたびにはりきるマリー。 子供の頃クンちゃんが見た景色を共有していることにうれしくて、 クンちゃんの手をひいて西東。
クンちゃんに一目ぼれモードのハツミは、 子供のマリーにあからさまな闘志を燃やしはじめる。

夕食の席で島に来た理由をきかれ、とっさにクンちゃんは、 「大学の課題レポートを書くため」とこたえる。 なんでも昔きいたこの島の妖精の伝説を調べたいという。 ところが、島の人々は首をかしげた。マリーもそんな伝説はきいたことがない。
海きりんは自分こそ海の妖精だと名乗り出るが、 いつも人間の格好をしているようなやつは妖精とはいわないとみんなから一笑され、 すっかり自信を失うのだった。

とにかくクンちゃんを案内しなければ。 マリーはククルヌパナに妖精の居場所をたずね、 深い森の中にある大きな石の上に生えた大樹の映像を得たが、かえって困ってしまう。 いまの島はいちめん牧場で、それらしい森の目星さえつかないのだ。

一方、天使を駆り出して愛車のハツミ号を洗車したハツミは、 民宿に貼ってある島の航空写真をまじまじとながめ、 妖精のいそうな場所に思いをめぐらせる。 そして、ある意味とんでもない事実に気づいてしまい、思わず吹き出す。
「この島、よく見たら、ぜんぜんハート形じゃない」

翌朝、クンちゃんと妖精探しに出たマリーは、 行っても行っても牧場の島を、あてもなく自転車でさまよう。 それを知ったハツミはハツミ号で猛追するが、なぜか二人を見失ってしまう。
見たこともない森に迷い込んだマリーは、石に生えた大樹にめぐりあった。 妖精の姿こそ見えないが、そこには幻想的な空気が流れていた。 「この島がマリーにとってどんな場所かわかった気がする」 クンちゃんは樹を見上げ、しずかに笑った。

帰る日の朝、ハツミ号の荷台に乗って島を一周した二人は、 牧場の真ん中で、石の上に生えた樹を見つけ絶句する。 この前、森で見たものはいったい何だったのか・・・ ここはハート島、不思議いっぱいの島でもあるのだ。

「また来てねー」
クンちゃんは船の上で大きく手をふりながら、ポケットのメモを海に捨てた。 そもそもこのメモを手渡すために島に来たのだが、今のマリーには必要ないかもしれない。
海中からあらわれてそのメモを拾った海きりんは、 「やれやれ、人間なんてやっかいなもんだな」と意味ありげに笑う。
それは、クンちゃんが苦労の末につきとめたマリーの母親の連絡先だった。

マリーの母は、実は東京で生きている。
しかしそのことは、まだ誰も知らない。



島の美童十三つ
踊る美童十三夜
ハートのかたちだハート島
ふくらむ胸のあるがまま





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