ハート島熱風食堂
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STORY 22 ウミガメ物語

STORY
01.春の嵐
02.島の子
03.あたらしい夏
04.黒潮の便り
05.明日定食
06.おじいの海
07.元気そば
08.満天の星
09.天使の休日
10.待っている人
11.涙の浜辺
12.本日営業日和
13.いのちのうた
14.店主の器
15.名もなき花で
16.笑顔農園
17.夢の一滴
18.見えない力
19.夏はお熱く
20.恋する珊瑚礁
21.島の魔法
22.ウミガメ物語
23.五風十雨
24.心の花
終 章
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ハート島熱風食堂


第22話 ウミガメ物語

夏休みの登校日、最後の教壇に立った裕子先生は、初めて見た海の話をし、 いつまでも美しい島でいてほしいといって、午後の船で島を出た。 港の別れはいつも明るく切ない。 手をふるマリーらの横で、ショウちゃんは涙ながらに海へダイブ。 島ではこれが最高の別れの表現なのだ。

抜け殻のように海辺を歩いて帰った一行は、 西の浜の途中で、砂浜に意味ありげに立てられた棒を見つける。 掘り返そうとする旅行者を、マリーがあわてて止めた。 西の浜には、夏場の満月の夜に、ウミガメが産卵にやってくる。 棒は海洋研究センターの研究員が立てた産卵地の目印なのだ。
双子の海太と海太が、先日遭遇したウミガメについて自慢げに話す。 「ウミガメのお母さんが来てくれたのはよ、僕がいい子にしてたからさ」
ハツミがぜひ産卵の現場を見たいと言い出し、 マリーを案内役に天使と三人で今夜西の浜に行くことになった。
マリーはククルヌパナの力で今夜母ウミガメが来ることを確信し、ひそかに胸をふくらませる。

一方、食堂で不意の電話を受けたオッチャンは、あわててマリーをさがしていた。 結局、見つけることができず、再び食堂へ戻るオッチャン。 おもむろに新料理の仕込みに入るが、うまく手元がさだまらない。 オッチャンはいつになく動揺していた。

その夜、民宿に集結したマリーらは、ハツミ号に三人乗りして出かけ、 ぬき足さし足で西の浜へ入った。 ところが、浜には動く影もなく、静かに波が寄せるばかり。
仕方なく砂に寝転がる三人。いまにも降ってきそうな満天の星空。 言いだしっぺのハツミは昼間の疲れから熟睡してしまい、 のこされたマリーと天使は、母ウミガメを待つことになった。

星空の下、そろそろ「この旅」を終わりにしようと思っていると告げた天使は、 母親に会ったらどうするかとマリーにたずねる。 そのときになってみないとわからないとこたえたマリーだったが、 ククルヌパナが道を示してくれるような気もする。 風おじいはそのこともあって心の花をマリーに託したはずだ。

いつのまにか眠ってしまったマリーは、翌朝、研究員に起こされた。 三人が寝ていたすぐそばに、昨夜はなかった目印の棒がある。 決定的瞬間を見のがしたとハツミはくやしがったが、 マリーはこれでよかったのかもしれないと思った。 ウミガメはたしかにやってきて、ここに新しい命を生んだのだ。

朝帰りの不良娘を迎えたのは、オッチャンの新料理・星砂スープ。 浜に流れ着いた星砂を底にしずめ、徹夜で仕込んだ特製スープだ。 発想はよかったのだが、口にふくむとじゃりじゃりして、とてもお客に出せるシロモノではなかった。
やがて朝から上機嫌のカワハギ艦長がやってきて「海の上は最高さ」と連呼する。
海のきらめきに目を細めるマリーは、こんな日がずっとつづくような気がしていた。



朝な夕なに海の風
かわす情けのあたたかく
ハートのかたちだハート島
流れてしかも変わらざる





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